ショウ
 世界最強と言われた格闘家は、悪霊に憑かれていた。同じように強さを求める彼は、パイフーがたどった道に肌寒い共感を覚えるのであった。
 彼は修行の旅に出た。おのれを見つめ直すために。武の道を極めるために、そして、更なるライバルとの決戦の日のために…。

タオロン
 邪悪なる意志は、父の肉体と共に滅ぼされた。父は殺された、そのように彼に告げた亡き母の言葉は、ある意味で正しかったのだ。
 彼は自問する。これで良かったのだろうかと。物言わぬ父の表情は、それに応えるかのように、やわらかであった。

ライラ
 女傑族の長によって予言された地を覆う影とは、一人の武道家に取り憑いた邪悪なる意志であった。
 脅威をしりぞけたことを報告に行くライラであった。しかし賞金で買った服は、彼女の歩行法には合わなかったのである。

『ウ…、コノ服、歩キヅライ…。』

ピエール
 賞金を手に入れたエセ貴族は、ぜいたく三昧の生活へと戻った。
『私は美しい。美しい私には、真新しいこのローブがよく似合う。そして昨日買ったこの姿見…。そこに映るこの私…。美し過ぎる…。』
 そこで彼は我に返る。
『…ジィに払う給金が…ない…。』

ティア
『兄さん…、兄さんなのね!?』
 若きチャンプであった彼女の兄は、初の防衛戦で、その会場から連れ去られたのであった。パイフーの手に落ちたことまでは分かっていたが、今まで兄の生死は不明であった。
『ティ…ア…』
 彼女の闘いは、今終わった…。

アルシオン
 仇敵は倒された。かつて彼の王国は、臣下に取り憑いた邪悪なる者によって滅ぼされたが、今、その者は彼の手で永久に封印されたのである。
『この地から始めよう…。』
 彼は、四千年の間、封印されていた墓所に帰ってきた。そして王国の再建をかたく心に誓うのであった。

コンドル
 邪悪なる者は封印され、彼は格闘家として世界の頂点に立った。だが、彼には気負うところが何もない。
 彼はいつものように、狩りの空の下にあったが、心の底では深く静かに燃えていた。次に聖霊の導きがある時のため、その肉体を、その技を、さらに鍛える彼であった。

マハール
 戦友の仇は討った。だが友は、もう帰らない…。むなしさが彼の心に去来する。
『憎しみは、憎しみしか生まぬ…。友もそれを望みはすまい…。』
 そう独りごちた彼は、友のために磨いた剣技を、今はまた、友のために捨てることを決意する。