八儀 左近介

 父・家正により無理やり男として育てられる。800年もの間生きながらえ、どんな病でも治すと噂される尼・八百比丘尼に父の治療をさせまいと彼女を殺してしまうのだが、城へ帰ろうしても比丘尼のいた寺へ戻ってしまう。
 左近介らが途方にくれていると、比丘尼の霊験を求めて病人が集まってくる。左近介は比丘尼とそっくりなことから尼に成り代わり、比丘尼が使っていたという光る羽(火の鳥の羽)で病人を治す。
 しばらくして、左近介たちは時間が逆行していたことを知り、自分が殺した尼が、自分自身であったことを知る。
 八百比丘尼となった左近介の元へは人間だけでなく、妖怪たちも訪れるようになった。比丘尼はそんな妖怪たちも人間と同様に介抱し、病を治す。
 従者の可平は恐れて近づこうとはしなかったものの、妖怪の姿を絵に描きとどめていた。
 ある晩、夢の中に火の鳥が現れる。鳥は人を殺した比丘尼の罪を指摘し、それが消えるには無限に訪れる全てのものを救う必要がある、と話す。そしてもし罪が消えていたら、一日だけ外の世界へと出られるようになると言う。
 やがて来た運命の日。八儀家正の家臣から城へ来るよう言われた比丘尼は、寺から出ることに成功する。可平は一緒に逃げようと言うが、寺に留まる。やがて比丘尼は自分自身、すなわち左近介によって斬り殺される。
 そしてまた、永遠にその運命は繰り返されていくのであった。
(紹介文書き手:M1号)

 なお、寺に大量に押し寄せる妖怪達の正体は火の鳥−太陽編−にて明かされています。未読の方は是非、ご一読を。