TVシリーズがDVD化されたので、1話ごとに思った事とか書こうかなって思います。

10月21日追加分
迷いの星の影

出発のバラード
停車駅:地球
停車時間:24時間

主要登場キャラ:CV
星野 加奈江(鉄郎の母):坪井 章子
機械伯爵        :柴田 秀勝

星の特徴
 貧富の差が激しく、金持ちは機械の体となり永遠に生きる事が出来る、貧乏人は現代の日本以下のいわゆる「部落」でボロボロの衣服を纏って生活。どうしてこーなるのかかなり謎。
 銀河鉄道の本社があるのは多分、この星。どーでもいーけど、宇宙標準語は日本語だと思う。

原作コミックとの違い
 鉄郎の父親の死因かなぁ。原作だと機械の体そのものに反対して殺された事になってますが、アニメ版だと機械の体を手に入れる為に必死に働いて過労死。全然違うんですけど…。
 後は機械伯爵の館での母親との別れのシーンが無かったり…メーテルに貰ったばかりの999のパスを盗まれたりもしなかったり(原作ではこの時点で「他の人のサインのあるパスを使うと死刑」と判明してますが、邪魔な設定なのでアニメ版では無視)。
 パスを盗まれない代わりに…機械伯爵を殺害した途端に指名手配されて追われる事に…逃げるようにして地球を旅立つ…第1話からいきなり犯罪者だし、鉄郎。あとは、そーですね、車掌さんが言う事聞かない乗客を宇宙に放り出して「始末」しちゃうっていう非道な話もカット。車掌さんのイメージを考えての事でしょうね。…アニメ版では乗客最優先なんで宇宙に放り出すなんて非道な事しないんです。

感想とか
 全ての始まり。
 劇場版では機械伯爵は鉄郎の目的の1つとして描かれて、時間城の主だったりしてトレーダー分岐点に到達するまで仇討ち出来なかったんですが、TVアニメ版では第1話で原作通りとっとと始末。999と言ったら機械伯爵!ってイメージ強いんですが、あくまでも劇場版での話なんですねぇ、それ。
 とにかくメーテルの怪しさが爆発しまくりの1話。あまりにも怪しすぎて笑えました。アレが何で永遠のヒロインにまで昇華されたんだろって感じ。

原作コミックより名台詞抜粋
「まってくれ、脳だけは撃たないでくれ!!体はどうなってもいいけど脳だけはやめてくれ(By機械伯爵)」
 機械人間の弱点。自分からバラしてどーしますか!それは撃ってくれと言ってるようなものですよぉ。っていうか機械伯爵って名前からしてヘンです、かなり。機械人間ばっかりの世界なのに。そもそも、機械人間弱すぎ。市販されてるっぽい銃で撃たれたぐらいで死ぬんじゃ不安…。

火星の赤い風
停車駅:火星
停車時間:24.37226時間

主要登場キャラ:CV
ゼロニモ :井上 和彦
フレーメ :杉山 佳寿子
酒場の親父:槐 柳二

星の特徴
 赤い大地とオレンジの空、吹き抜ける赤い風。…1世紀かけてテラフォーミング。その結果、人間が住むのに何の問題も無くなったらしい。が、機械人間が住人のほとんどなので気圧の調整だとか必要無かったとはメーテルの談。曰く「無駄な努力をしたものね」…原作ではどうとも思わなかった台詞ですが、アニメ版でのあまりにも冷たい言い方に「この女、何者?」とちょっと背筋寒くなりました。メーテル怖い…本気ですっごい冷たかったです。田舎だとか…火星にイヤな思い出でもあるんですかね?
 停車駅となる「大シルチス」付近には住民の姿は無く、ゴーストタウンと化しているのがかなり謎。地球のすぐ隣なので999以外の何かローカル線が停車すると思うんだけど…。メーテルが言うには機械人間がたくさんいるはずなので…多分、駅前は何か危険な事でも。

原作コミックとの違い
 ゼロニモとフレーメが死んだ後に、酒場の親父に会う事無く鉄郎は999に帰っちゃいました。いや、逢ったんでしょうけど、その場面が無かったです。
 んー、その他には「地球のすぐ隣なんで魅力の無い星」っていうのがメーテルでなくてフレーメの台詞になりました。まあ、その方がストーリー的に盛り上がるのでいいんですけどね。フレーメを捨てて旅立とうするゼロニモの事とか考えた場合。

感想とか
 相手が機械人間とは言え、人1人殺しておいて良心を痛めた様子もなく平気で笑って次の停車駅を楽しみに出来る鉄郎がちょっと怖かったです。宇宙で生きていける人ですね、鉄郎。…あと、やっぱりメーテルの冷たさが際だった1話でしょうか?
 ちなみに999の世界では二十世紀末に人間は火星の大地に降り立ったそーで…んー、宇宙開発は遅れてますからねぇ。…NASAは火星で実験する人間を募集してましたけど、それもまだ先の話。
 あ、あと思ったのは胸撃たれても機械人間は死ぬんだなぁって事ですね。…機械伯爵が高性能なのか、ゼロニモとフレーメの性能が悪いのか。…まあ、普通考えるに脳さえ生きてればボディがどんなに傷つこうと。…脳に栄養がいかなくなるから死ぬんですかねぇ?でも、ガラスのクレアさんを見る限りでは体内に何かエネルギーが流れてるようにも見えませんし…機械の体には謎が多いです。っていうか弱すぎ。

原作コミックより名台詞抜粋
「長生きするだけがしあわせかどうかだれにもわからないよ 自然に生きて自然に死ぬのがいちばんいいような気がするよ わしは…死ぬべきときに死ねなかった人間はみじめなもんだよ…(By酒場の親父)」
 999最大の名台詞かと思います。この言葉には私も大きく影響を受けており、雑記でも時々引用してる言葉ですね。死ぬべき時に死ねなかったSNKは惨めだとか。
 アニメ版では旅立つ999を見てのひとりごととして語られてるんですが、槐柳二氏の味のある演技と相まって、かなりの名シーンとなっております。

タイタンの眠れる戦士
停車駅:タイタン
停車時間:16日

主要登場キャラ:CV
ガラスのクレア  :川島 千代子
心のトンネルの幻覚:津田 延代
花のホテルの老婆 :京田 尚子

星の特徴
 太陽系の中で一番美しく、そしてこわい星…らしい。土星からの熱でいつも春のように暖かい常春の楽園。
 この星を支配する法は「楽園法」。何をするも自由、殺したければ殺す、盗みたければ盗む、それを罰する法は無く、他人の自由を奪う事は許されない。それが楽園法。…でも「他人の生きる自由」を奪う「殺人」はやっぱりやっちゃいけないと思うし、「盗まれたくない」という思うのも自由で、そう思ってる人から盗むのもまた楽園法違反だと思うんですが…。こんな法成り立たないです、どうやったって。

原作コミックとの違い
 ガラスのクレアさんのお話とタイタンのお話がセットになってるのはともかくとして…特に違いは無いと思います。

感想とか
 まずは前半、クレアさんの方を。
 機械人間の謎を巨大なモノとしてくれたガラスのクレアさんがやっぱり印象的ですね。どこに脳があるんですか?
 まあ、それはそれ…心のトンネルが危険なら危険と乗客に注意して欲しいものですね、銀河鉄道は。あと、メーテルも鉄郎に教えてやれよ…。
 鉄郎の母親に化けて鉄郎を殺そうとした幻覚…これ自体は別にいいんですけど、アニメ版だと冥王星でも同じ失敗を繰り返すのが…鉄郎ってバカ?とか思っちゃったり。
 そして999のウェイトレス…999で働くので乗せて下さいという人は多いのに認められない。…クレアさんが死んでからウェイトレス無し。車掌さんは暇なんだか忙しいんだか(アニメ版ではしょっちゅう昼寝してるので暇なんでしょうが原作版はどうなんだろ?)知りませんが、仕事増えて面倒な事ですねぇ。やっぱり地球本社で認められた人しか使えないんでしゅか?現地で新人を勝手に雇っちゃダメですか?にしても危険の多い999でそれは…ちょっと。

 次は後半のタイタン。
 心のトンネルにしてもそうですが、銀河鉄道は…っていうか999は次の停車駅の情報を乗客に知らせるべきです。それかパンフレットでも置いておくか。海外旅行に出る前にその国の常識とかを学ぶのと同様にその星での常識を知らないと…駅から出た途端に「貴様、○○法違反だ!」とかなったりしかねません。
 ってわけで楽園法を知らなかった鉄郎はタイタンに着くなりメーテルをさらわれ撃たれちゃいました。…心のトンネルにしてもそうですが、メーテルが鉄郎に教えないのは「鉄郎を立派なネジに育てあげる為」なんでしょうかねぇ?わざとトラブル、事件に巻き込まれるように仕向けて成長を促す!
 メーテルの実力からして、いきなりとっつかまるなんて有り得ませんし。
 もひとつ謎なのがトチロー特製の戦士の銃「コスモドラグーン」の存在でしょうか?この時点ではそんな設定はなかったので仕方無かったんでしょうけど…広い宇宙で所有してるのはエメラルダスだのハーロックだのそんな人達だけだっていうのに、タイタンの老婆が何でそんなスゴイモノを(トチローの母親だと思ってる方は多いかと思いますが、これも劇場版だけの設定です)。息子の銃だと言ってますが…えぇ、私が思うに…この老婆、メーテルが事前に雇ったエキストラ。
 鉄郎に戦士の銃を渡す手段として…「自分自身がさらわれる」>「鉄郎困る」>「そこに現れる謎の老婆」>「老婆から銃を貰う」…と、こういう流れ。そうでも無い限り、戦士の銃を持っているわけがない。メーテルをさらった「ぶどう谷の戦士」も当然ながらメーテルが雇ったのです。殺すのも自由なタイタンにおいて…復讐にくるかもしれないというのに「麻酔銃」で鉄郎を撃ったのがその証拠!!
 メーテルの行動はとことん怪しいです。原作コミックを見るに…麻酔銃を撃ったのが誰なのかもわからないので、偶然の事件を利用して、さらわれたフリをして、追いかけてこようとした鉄郎をメーテルが撃ったという可能性も。だって「追ってきちゃダメよ」とか言ってるし。楽園法違反になる?いや「追いかける自由」がありますし、結局、鉄郎はメーテルを追って旅立ちましたし。

原作コミックより名台詞抜粋
「たいくつはしないわ あの星は16日あってももっと長くいたくなるところよ(Byメーテル)」
 恐ろしいまでにいい加減な事を言い放つメーテル。恐らくは「メーテル誘拐計画」として16日フルに使おうと考えていたのでしょう!!。とすると、やっぱり「ぶどう谷の戦士」にさらわれたのは偶然を利用した事故?
 この1話の終わり際にタイタンを批判する鉄郎に対して「私もそう思うわ鉄郎…」とぬけぬけと涼しげに語るメーテルはステキすぎ。

大盗賊アンタレス
停車駅:アンタレスの家(臨時停車)
停車時間:?

主要登場キャラ:CV
アンタレス:今西 正男

星の特徴
 999の本来の停車駅では無いのは当然の事、だから空間レールも通ってません。っていうか空間レール無くても走れるって事は「レール」というよりは道しるべなんですかね?
 それはそれとして、アンタレスの家は、ただの岩です。宇宙空間に普通に「岩」があるわけもないので、アンタレスがどこからか運んできたんでしょうねぇ。住居として使えるように中をくりぬいて、電気も通ってる様子。自家発電?…どーやって?まさか、真空相転移とかすごい事を?
 なお、住民はアンタレスとその子供達だけ。といっても子供が10人以上いるので、にぎやか。

原作コミックとの違い
 かなり手が加えられてます。「2ヶ月帰ってこなかった」というのが「2年帰ってこなかった」になってたよーな。聞き違いの可能性もありますが。…2年も子供達だけで暮らせるわけないですしね。
 後はぁ、アンタレスの「奥さん」というキャラが存在しており、強盗の際に機械人間に殺されたとか…。他に細部色々と違いますが、決定的に違うのが…。
 「1人で寂しい」とかアンタレスらしからぬ弱音をメーテルに打ち明け「一緒に住んでくれ」とまで言っちゃう事。この先「寂しい」と言って鉄郎をかっさらう人が続出します…アニメ版は「宇宙は寂しい」がテーマですか?っていうか「寂しい」言ってる人いっぱいいるんだから、お互いを紹介してあげれば、メーテルさん?

感想とか
 空間レールにはバリアがあるので侵入不可能なはず…。いや、その設定からしてウソだろって感じなんですが、原作では語られなかったアンタレスの侵入方法が語られましたが、驚きです。「前の停車駅からへばりついていた」…すごい根性というか、落ちたら死ぬ。それともバリアにひっかかる?いや、でも999から放り出された乗客いるし、ガラスのクレアさんの破片を宇宙にばらまいてたし…。
 何にしろ、異物があったのに気づかずに発車してしまったというのは「C−62」らしからぬミス。…いや、まあ…この後もミスしまくりですけど「C−62」。……もしかしたら、あんまり優秀じゃないのかも。だから「車掌」が必要なんですか?
 前の停車駅で「へばりついて」いたというアンタレス。すごい根性です…落ちたら死ぬんですよ?
 乗客が死ぬと、乗員は死刑だそーで、そんな危険な職場に就職したくない。でも、結構「死んでる」よーな…。銀河鉄道の規則全部見てみたいですね…かなり矛盾した条項がいっぱいあると思います。
 何の説明も無いのでアンタレスの子供が何であんなに多い上に「ほとんど同じ年齢」なのか謎です。…設定としては孤児って事ですが、劇中まったく…一言もその事実に触れないですねぇ。いや、見ればわかりますけど、多すぎなんで、子供。
 ただ…子供達がどんなにアンタレスを慕っていたとしても、「大盗賊」を名乗っていようとアンタレスは盗賊ではなく「強盗」ですから、あんまりよろしくないと思います、親として。盗賊ならいいってわけじゃないですけど、相手が悪人であろうと、だからといって「強盗」をしていいという理由にはなりませんし、999の乗客は悪人でもないですし。そして、どうやら「機械人間」を嫌悪しているようですが、そんな個人感情で襲われてはたまったもんじゃないですね。999の世界…というか松本零士氏の作品では「美」として描かれる「弱者に生きる権利無し。襲われる奴が悪い」というのは…どうにも受け付けません。いや、意味はわかるんです、犯罪を認めてるんでなくて、前向きに…戦う姿勢を持って生きる事が美しいというトレーズ=クシュリナーダと同じ考え方…私も大いに賛同は出来るのですが、それが他者を踏みにじるものであってはいけないと思うのです…犯罪はダメだと。
 それはそれとして、火星の酒場のオヤジに続いて、「機械の体」が幸せなのかどうかと…この時点で既に「鉄郎」が機械の体を否定する結末が用意されていた感じ。唐突に意思が変化したわけじゃなく、最初から最後まで「基本ストーリー」を作っておいてある…漫画としては当たり前の事なのに、最近の漫画もアニメもどうも「行き当たりばったり」で結末を決めてない感じの作品多くて、うんざり。

  原作コミックより名台詞抜粋
「撃たれる前に撃て!!相手が涙を流していても必要な時は心を鬼にして容赦なく撃てよ(Byアンタレス)」
 999の世界「宇宙」では確かに正しい事です。そうしないと死にますからね、自分が。…でも、鉄郎の場合はこの言葉を勘違いしているのか「自分が気に入らない奴は容赦無く撃つ」って感じで、あなたは不快だったかもしれないけど、それはあなたが、この星のルールを知らなかったからでしょ?みたいな…ただでさえ「殺人」行為に「罪」の意識を感じない鉄郎に「鬼に金棒」な助言をしてしまう、アンタレス…余計な事言うな、貴様!!