ガイア       
 大地母神。大地そのものであり全ての母である。ゼウスによる安定統治の時代がくるまでは、彼女こそが争いのもとである。
 天ウラヌスと海ポントスを生み出した後、ウラヌスとの間にティタン(ティタニス)キクロプス(サイクロプス)ヘカトンケイルを産みだした。
 その後、ティタン神の末子であるクロノスに夫ウラヌスを殺害させ(といっても不死身だけど)、その後にはクロノスの息子ゼウスウラヌスに幽閉された我が子キクロプスヘカトンケイルを救出させクロノスを殺害させる。
 だが、ゼウスによりティタンが幽閉されるや、自らが天の支配者になるべくゼウスに戦いを挑む。その名も高き怪物テュポン等を使いゼウスを苦しめるが敗北し、その後はおとなしくなる。
 最初の神であるが「無」から生じたのではなく原初の存在である「混沌」つまりカオスより生まれたといわれている。

ウラヌス      
母:ガイア
 天神であり天王星にその名を残す神である。ガイアとの間に生まれたキクロプスヘカトンケイルの、あまりの異形さに彼らをタルタロスへ幽閉する。それがガイアの怒りを買い、息子であるクロノスに滅ぼされてしまう。

クロノス      
父:ウラヌス
母:ガイア
 2代目の天神。刻の神ともいわれるが、クロノス以前は時間がなかったのでしょうか?(ゼウス以前の神は司る神ではなく、事象や対象そのものの擬人(神)化なのである)
 ティタン神の末弟で、兄や姉達が成そうとしなかった父討伐を実行した。2代目ってのは、場つなぎでしかないので(2代将軍とかもそうだし)特に重要な神ではない。
 父を倒した後は姉レアと結婚する。しかしウラヌスが残した「お前もまた、自分の子供に滅ぼされる」という言葉をおそれ、生まれた子を片っ端から飲み込んでいった。
 ところが、3男はレアの手により助けられる。この3男がゼウスであり、ウラヌスの言葉通り、父であるクロノスを滅ぼすのであった。

ペルセフォネ    
父:ゼウス
母:デメテル
 御存知、冥界の女王である。ハデスに捕らえられ冥界に連れていかれ、そのままハデスの妻として冥界に君臨することとなった。
 ゼウスの裁きにより母であるデメテルと夫であるハデスのもとを半年ずつ行ったり来たりしている忙しい人(神)である。(アドニスの物語と矛盾するけど)
 彼女が冥界にいる時は大地の守護がない為、実りがない季節「冬」となり、地上に出てくると「春」になる。

アンフィトリテ   
父:オケアノス
母:テテュス
 ポセイドンの正妻…の割にはヘラペルセフォネと比べるまでもなく知名度が低い。理由は簡単、彼女に関する逸話が全然ないのだ。その点でいえばヘスティアもそうだが、彼女の場合はゼウスの姉という立場がある。しかしアンフィトリテの場合、ゼウスに連なる者でないどころか海のニンフ(何をもってニンフとするのかは難しいところだが)という低い立場にある。しかも両親も、はっきりしない。あまりにも説が多すぎて紹介する気にもならない。
 これではマイナー街道をひた走るのも当然。しかし、ポセイドンが海の魔物を支配できるのは、このアンフィトリテの力のおかげらしいぞ。(ポセイドンは元々は海じゃなくて馬の神ですから)
 唯一、存在する逸話はポセイドンの求婚を嫌がって逃げた話だ。(全くこの兄弟は…)

トリトン      
父:ポセイドン
母:アンフィトリテ
 半人半魚の姿をした海の神。父に比べて非常に穏やかな性格でギリシア神話にしては珍しく真に優しい青年である。船乗りの守り神として知られる。父はトライデントだが、この息子は法螺貝がイメージアイテム
 ちなみに彼の両親の行使する魔物もトリトンという名前だが、このトリトン族は見た目こそトリトンと同じ様な感じだが、性格は悪戯好きで好色。サテュロスみたいな感じである。
 AMPHITORITE+POSEIDONでTRITONなのか?

プロメテウス    
父:イアペトス
母:アシア
 神々の大戦のおりにティタン一族でありながら、その先見の明によりゼウス側につきゼウスの時代においても力をふるった神である。それでもティタン一族として同族の事でゼウスには恨みをいだいているようである(そうでないと、ゼウスの頭をかち割る必要がない)。
彼はまた人間の創造主として知られており、いかなる時でも人間の味方である。人間の為に火を盗みだし与えた話は多くの人が知っていると思う。が、この為にゼウスの怒りを買ってしまい、岩場に張り付けられ鷲に毎日、肝臓を喰われるという罰を与えられてしまう。プロメテウスもまた不死身なので、喰われても翌日には元に戻っているというのだが、ならヘパイストスの足は何で治癒しない?何故、クロノスの体は蘇らない?ホントに都合のいい不老不死である。
ちなみにヘラクレスに助けられたのであるが、仮にも神である彼が、逃げ出せない訳もなかったわけで、あくまでも自分はゼウスに対して屈服しないという態度をとり続けたのであろう。

ヘリオス      
父:ヒュペリオン
母:ティア
 太陽神。アポロンは太陽の光だがヘリオスは太陽そのもので、エオスが走り出した頃に炎の戦車に乗り天空を駆け西の果てに沈んだ後は金の大杯に乗りオケアノスをを下り東に戻るという事を繰り返している。
 何の為に生きているんだか…。
 仕事柄故に地上で起こる全ての事を目撃しており、彼だけが知っている秘密も多い。とはいえティタンの末裔であるので地位は低い(支配地であるロードス島は例外)
 ローマ神話ではソルに相当する。

セレネ       
父:ヒュペリオン
母:ティア
 月の女神でアルテミスと同一視される事もある。結構マイナーなんで、その存在を知らない人も多い。
 ヘリオスが勤めを終えると彼女が銀の戦車に乗り天を駆ける。そして昼の間に地を走り元の場所まで戻り再び天を駆け夜へと誘う。むなしいな、この兄妹(ヘリオスの娘という説もあるけど)は。
 彼女に残されているエピソードで最も有名なのは人間の青年エンデュミオンとの恋愛だろう。
 1日中、天か地を駆けている彼女に、いつそんな暇があったのかは知らないがエンデュミオンと幸せな時を過ごしていた。しかし彼は人間、いつかは老いて醜くなってしまう。そんな事には耐えられないと彼女は彼をなんと仮死状態にしてしまう。そして毎日、彼のもとへ訪れたという。  つまり、外見がよければ中身はどうでもよかったわけだな。不幸なのはエンデュミオンだ。仮死状態だから転生する事もない。死んではいないけど生きてもいない状態だもんな。
 ローマ神話ではルナに相当する。

エオス       
父:ヒュペリオン
母:ティア
 曙の神。セレネが西の果てに沈む頃に天に昇る。役目はこれだけでヘリオスセレネに比べて随分と楽をしている。
 アレスに好かれた為にアフロディーテに恨まれ多くの恋を経験する事となった。
 ローマ神話のオーロラ(アウローラ)に相当する。

エロス       
父:アレス
母:アフロディーテ
 恋の神。ゼウスアフロディーテの息子という説もある。彼の持つ矢に射られた者は、たとえ神であろうと恋愛感情に関しては彼の言いなりとなってしまう(ヘスティアは例外のようだが)。
 神とはいえ子供で、自分の能力を悪用しているように感じる。アポロンに馬鹿にされた彼はアポロンを射てダフネという娘に恋心を起こさせ、ダフネアポロンに対して無関心になるようにした(不幸なのはダフネだな)。困ったものである。アポロンの恋愛運の悪さはもしかしたらこれが原因なのかもしれない。
ローマ神話ではキューピッドに相当する。

エリヌウス     
父:ウラヌス
母:ガイア
 復讐の3女神の総称。クロノスがウラヌスを倒した時に生まれたガイアとウラヌスの最後の子供達で、アレクト,メガイラ,ティシフォネという名である。
 復讐というとイメージが悪いが決して邪神ではなく、「血族」特に「親」殺しをした者を地の果てまでも追いかけて罪を追求する。
 ギリシア神話の世界では親殺しは当たり前のように起きている(主神のゼウスからしてそうなのだから)ので、このような神も必要だったのだろう。

モイライ      
父:ゼウス
母:テミス
 運命の3女神の総称でラケシス,クロト,アトロポスという名である。
 彼女達が定めた運命には主神ゼウスさえも逆らう事はなかった(神には運命を変える力があるようだが、運命を変える事はこの世の理に反する行為であり世界の滅亡を早めてしまう)。
 …とはいっても矛盾だらけのギリシア神話のこと。神々は人々の運命をいいように操っています。

アトラス      
父:イアペトス
母:アシア
 プロメテウスの兄弟であるが、ティタンに味方した彼はゼウスに過酷な罰を与えられる。永遠に天を支え続けるという罰を……。
 彼はプロメテウスと違い少々、頭が足りないようで一度はヘラクレスに、この過酷な任を押しつけたものの、あっさり騙され再び天を担ぐ事となってしまった。
 時代は前後してしまうのだが彼はペルセウスにも出会っており、この時メデューサの魔力により石化され(彼が頼んだとも、ペルセウスを怒らせてしまったからとも…)ようやく、この罰から逃れる事ができたといわれている。
現在でも天球として英語に、その名を残している。

ヘベ        
父:ゼウス
母:ヘラ
 青春の女神。神に酒を注ぐのが役目なのだが、ある時、派手に転び上品でない姿を衆目にさらしてしまい、その座を奪われる事になる(それってラッキーなのでは?)。
 後に神となったヘラクレスと結婚する。
 酒を注ぐのが何故に青春と思われるかもしれないが、古代ギリシアの青春時代の娘が何をしていたかを思えば理解出来るはずである。

フォボス&ディモス 
父:アレス
母:
 アレスの従神で恐怖を司っている。どちらも火星の衛生の名となっているので下手をするとアレスよりも有名かもしれない。しかし火星がローマ神話のマルスなのに衛星はなぜギリシア神話?

ヘラクレス     
父:ゼウス
母:アルクメネ
 ギリシア神話最大の英雄として知られる剛力の神。
 かのメデューサ退治の英雄ペルセウスの孫(弟でもあるわけだが…)であり、ゼウスに祝福され誕生した由緒正しき英雄である(この為、ヘラに憎まれる事となる)。
 だが、私から見れば英雄などではない。勇者ではあるかもしれないが「殺人鬼の蛮人」である。善か悪かといえば間違いなく悪の部類に属している。
 彼は生後8ヶ月の時にゆりかごに忍び込んだ蛇を絞め殺した(この状況で縄跳びをかました奴にはかなうまい)というエピソードからもわかる通り、かなりの剛力である。しかし、その分「頭」が、ちょっとね。
 「きちがいに刃物」な、この状況。当然ながら何事もなく大人になれるわけもなく、彼の父親(養父)が彼の為に集めた教師を殺してしまった。
 この事件後、彼は山奥に送られ育つ事となった。自由気ままに育ったわけだから「暴力的な性格」が直るわけもなく最悪な大人となってしまった。
 そして17歳。彼はキタイロン山のライオンを退治(このライオンの皮がヘラクレスを象徴する例のコスチュームとなる)し、その功績によりテバイ王の娘(王女様か?)を与えられ、結婚することになった。
 だが、ヘラクレスを嫌うヘラは彼が王位継承権を獲得した事が気に食わず彼を狂気に陥らせた。この怪力の狂戦士は妻と子供を殺害し、親族殺しの罪を背負ってしまう。
 正気に戻った彼はテーバイの地を去り、罪を清めてもらう為にデルポイ(デルフォイ)で神託を伺う。
 神託は「アルゴリス国王に仕え、彼の命じる10の難行を成し遂げよ」という内容のものだった。実はアルゴリスというのはゼウスの祝福により、ヘラクレスが国王になる運命にあり、ヘラの陰謀により従兄弟であるエウリュステウスにその運命を奪われたという因縁深い地であった。
 それは、ともかく「神託」を無視するわけにもいかないのでアルゴリスの地へと赴いた。これがヘラクレスの物語で最も有名な「12の難行」の始まりである。

 1.ネメアのライオン退治
  ライオンといっても「ネメアのライオン」はテュポンの子供で、しかも不死身。しかしヘラクレスは首を締めて、あっさり殺してしまった(不死身って何?)

 2.レルネのヒュドラ(ヒドラ)退治
  9本の頭を持ち(頭の数は諸説あり)、1つの頭を切り落とすと、2つの頭になって復活するという化け物。苦戦するが、甥であり従者であるイオラオスの助けもあり、なんとか退治するが、助けを借りた為に難行達成とは認められなかった。

 3.ケリュネイアの牝鹿の捕獲
  黄金の角を持つアルテミスの鹿で、生け捕るのに手間取り1年以上を費やしている。

 4.エリュマントスの猪の捕獲
  ギリシア神話世界の猪というのは、その当時の人間にとって猪が驚異であった為、キマイラなどの怪物なみの強さを誇っている。人間の発想の貧困さの1例であるな。

 5.アウゲイアスの厩舎掃除
  「それのどこが掃除かぁぁ」と絶叫したくなるほど大雑把な方法で1日で片づけるが(1日で掃除するように命じられた為という説もある)、アウゲイアスに謝礼を要求した為、これも達成とは認められなかった。まあ、当然である。あんたは本当に罪を清める気があるのか、ヘラクレス?

 6.ステュンパロスの鳥の駆逐
  危険はないが、数が多いので難度は高い。蛮人のヘラクレスは結局、全ての鳥を射殺してしまう。駆逐なので、それでもOKだが……。

 7.ミノスの牡牛の捕獲
  例のミノタウロスの父牛である。ミノタウロスの捕獲ならともかく、ただ凶暴なだけの牛の捕獲などヘラクレスにとっては簡単であった。ただし、その後、ミノスへ連れ帰らず、その場で放った為にギリシア中でこの牛は暴れ回り、人々は迷惑したという。(童話みたいな話だな)

 8.

オリオン      
父:ポセイドン
母:エウリュアレ
 冬の星座で有名な巨人(神と巨人は同一だと考えられるので、ここに記述)。
 彼は、ある王に騙され盲目にされた挙げ句に海に流されてしまった。彼は巨人なので、その事で死ぬような事はなく海の中を歩き、やがて太陽の光により視力を取り戻す。だが王は姿を隠してしまっていた為、復讐を遂げる事はかなわなかった。
 その後、クレタ島でアルテミスと出会い、お互いに惹かれていった。彼は彼女との結婚を望むようになりアルテミスもまたそれを受け入れると思われた。
 その時、恋愛運の悪い男アポロンが彼らの邪魔をしに現れた。アポロンはアルテミスを騙しオリオンを弓で射殺させてしまうのである。悲しんだアルテミスはオリオンを天へあげ星座としたのであった。
 と、いうのが一般的だが、「星座」という観点から見た場合は、また別の有名な逸話となっている。
 処女神であるアルテミスはオリオンの想いを受ける事が出来ず、彼を殺す為に1匹の蠍をはなった。無事オリオンを殺す役目を果たした蠍はその功績により天にあげられ星座となった。そしてオリオンに好意を持っていたのもまた事実であったので、やはり星座とした。この為、星座となってもオリオンは蠍から逃げ続けなければならなくなった、という「星座」ならではの話である。その他、彼の死については多くの説が存在している。