ゼウス       
父:クロノス
母:レア
 天界を支配する最高神。その力は絶大で雷を操る事が出来、いかなる者も彼に逆らう事は出来ない。
 最高神だからなのか、根っから軽い性格だからなのか、他の神々ほど残酷な面は持っていない。
 天界の支配者であったクロノスレアの末子であり、生まれてすぐにクロノスからは隠され育てられた。成長した後は、ガイアの言葉に従い幽閉されていたキクロプスヘカトンケイルを解放し味方につけ、兄弟と力を合わせ10年以上もの長き戦いの末、父クロノスを打倒し天界の支配者の地位を継ぐ。だが彼自身もまた、父や祖父と同じく「自らが生み出した者」にその地位を追われる宿命をガイアに背負わされてしまった。
 ゼウスの雷の力はこの戦いの時にキクロプスから授かったものである。(厄介なものを与えたものだ)
 クロノス打倒後は、クロノスに味方したティタンをはじめとする古き神々を罰し、天界からの追放や永遠に続く重い罰を与えた。(アトラスなど不幸としか言い様がない罰が与えられている)
 この処断に反発したガイアがゼウスに戦いを挑むが敗れ去り古き神々は駆逐される事になる。
 と、ここまではなかなかに格好いいのだが、その後は…。
 姉のヘラを妻に迎えるも生来の女好きの性格故、彼女の目を盗み神や人間を問わず多くの女達に自分の子供を生ませた。白鳥座という星座があるが、あれは女性に会いに行く時にヘラの目を誤魔化す為にゼウスが変身した姿の1つである。最高神ともあろうものが情けないものである。とはいえ、もしバレるとゼウス自身より(ヘラだってゼウスには勝てないのだから)相手とその子供に迷惑がかかるので仕方ないと言えない事もない。
 更に結構間抜けな面があり、それを他者のせいにして逆恨みしたりするので困りものである。自分のミスにも関わらず人間を逆恨みし「火を与えない」などと言い出し、その結果、プロメテウスが悲惨な目にあったのは有名。
 このような情けない面ばかりが目立つのでつい忘れがちだが、圧倒的な力の持ち主で他の神が束になっても敵わない恐るべき実力者である。間違ってもゼウスを敵に回してはいけない。事実、彼は一度人間を滅ぼしているのだから…。
 ローマ神話ではジュピター(ユピテル)に相当する。ついでに書いておくと、ゼウスというと髭面の親父か爺のイメージで描かれる事が多いが、オリンポスの神々は不老不死で、かつ美形なのでゼウスも実際には美青年であるはず(ポセイドンハデスだってそうだ)。まあ、ゼウスの場合は好きな姿に変身できるから関係ないが。

ヘラ        
父:クロノス
母:レア
 ゼウスの妻として有名な神だが、皮肉な事に彼女の司るものは一夫一婦制社会である(又は夫婦の営み)。ゼウスもヘラも何故それで結婚したんだか……。
 彼女自身の力はそれほどではないもののゼウスの妻という事で、かつてはポセイドンがその地位にいた天界のbQの座についている。
 最高神たるゼウスも彼女だけには頭があがらないのだから大したものである。
 物語においてヘラの名が登場するのは、ほとんどの場合はゼウスへの嫉妬からの悪役としてである。彼女の守護するものとゼウスの行動が相反するものなので仕方ないかもしれないが、だからといって相手を殺してしまうのはどうかと思うぞ。
 彼女が最も活躍するのはヘラクレスの英雄物語で、見事なまでな悪役ぶりである。彼女のイメージが一般的にあまり良くないのはこの為であろう。
 ローマ神話ではジュノ(ユノー)に相当する。

ヘスティア     
父:クロノス
母:レア
 竈の神。ゼウスの姉という事でオリンポス12神の1柱に数えられているが、竈の神では物語が作られる事もない。とりあえず彼女の活躍を私は知らない。
 ハデスが12神にいる場合は12神から外される事が多い。またディオニュソスに12神の座を譲ったとも言われている。
 それでもその扱いからいって、誰なのかはっきりしない天界のbRの座は彼女のものであるように感じる。
 主神ポセイドンアポロンは見事に振られている。彼女にだけはアフロディーテエロスの恋の魔力さえも及ばないのである。
 嫌がるデメテルにまで手を出したゼウスが彼女にだけは手を出さなかった事からも、実は相当に位の高い神である事がうかがえる。
 ちなみに「竈」は古代ギリシアの家庭において必需品。家庭の中で上位の存在…つまり人間からの信仰は非常に厚かったはずです。何でbRなの?と言う疑問は解けましたか?
 ローマ神話ではヴェスタに相当する。

デメテル      
父:クロノス
母:レア
 ガイアの後を継ぎ大地母神となった女神(とはいえガイアは大地そのものなので依然、存在しているわけだが)。かなり重要な地位にあたるわけでガイアのように気性の激しい者では大地が安定しない為に女神の中でも特に温和な彼女が大地母神を任せられたわけだ。
 が、そんな彼女も大地の守護を放棄した事がある。彼女にはゼウスとの間にペルセフォネという娘がいたのだが、その娘が突然に姿を消してしまい、それを探しに世界中を彷徨い歩いたのである。
 事実は冥界の王であるハデスが妻に迎える為にゼウスの了解の下に冥界に連れ去ったのであるが、その事実を知った彼女は嘆き大地母神の地位を捨て人間へと姿を変えオリンポスの地を去った。
 守護を失った大地は不毛となりギリシアの地は混乱に見舞われた。
 これに困ったゼウスハデスペルセフォネを返すように説得し、どうにか収まったわけである。デメテル恐るべし。
 おそらくはヘスティアと同列のbRか、それより1つ下のbSの地位にあると思われる
 ローマ神話ではケレスに相当する。

アフロディーテ   
父:ウラヌス
母:
 クロノスが切り刻んだウラヌスの性器が海へ落ち、その時の泡から生まれたとされている。(ゼウスディオネの娘という説もある)。
 オリンポスの神々は皆、美形なのだが、その中でも最も美しかったのが彼女であり美を司る神となる。
 彼女は他の者に恋心を起こさせる事が可能(迷惑な…)で恋愛を司る神でもある。もっとも、その地位は息子のエロスに譲っているのだが。
 意外な事に「戦女神」という側面もあったようで、息子を救う為に自ら闘うなど勇ましい姿を見せる事もあったが、槍にちょっと突かれただけで逃げ帰ってしまったという(どこが戦女神なんだか)。
 自分の弱さを嘆いた彼女だがゼウスが言うには「お前は戦いには向いていない。その美しさで皆を楽しませていればいい」という事であった???。
   ローマ神話ではヴィーナスに相当する。

アポロン      
父:ゼウス
母:レト
 太陽神として有名だが予言の神であり医学、音楽の神でもある。特に音楽の神としての面が大きく竪琴の名手として知られる。
 穏やかで温かい心を持った神とされているがこんな逸話も残されている。
 あるフルートの名手がアポロンに音楽勝負を挑むとアポロンは竪琴を逆さまにして弾いた。そして「お前も同じ様に吹いてみろ」と。
 音楽勝負を挑んだのであって大道芸の勝負を挑んだわけではないし、絶対に出来るわけのない事なのだから、こんな勝負は無効なのだが、フルートの名手は自らの敗北を認めてしまった。するとアポロンは、罰として彼の皮を1枚1枚はがしていき泣き叫んでも決して許さなかったという。
 とても残酷ではないか!これが温かい心を持った者のする事だろうか?むしろ性格の悪い神に感じるんですが、その他の話とか見ても…
 やっぱり、オリンポスの神だよな、アポロンも。
 どうでもいい事だが、恋愛運が非常に悪い男である。
 ローマ神話でもアポロン(アポロ)だったりする。

アルテミス     
父:ゼウス
母:レト
 アポロンの双子の姉(妹という説もある)で月の女神。弓矢の名手で狩猟の神でもある。
 弟と違いあまり逸話が残されておらず知名度の割にどういう神だったのかよくわからない。知られているものでは猟師のアクタイオンが偶然にも彼女の水浴を見てしまい鹿の姿に変えられ彼の連れていた猟犬に噛み殺されたというギリシア神話の神らしい、ひどい話が残されている。アポロンもそうだけどイメージ壊れるよなぁ。
 弟と違い恋愛には縁のない処女神なのだがオリオンとはいい仲であった。
 ローマ神話ではダイアナ(ディアナ)に相当する。

アテナ       
父:ゼウス
母:メティス
 戦いの女神でアルテミスと同じく処女神である。
 彼女は不思議な生まれ方をしているが、それは彼女こそゼウスを滅ぼす運命の子だったからである。
 ガイアの予言によるとメティスの娘の息子がゼウスを滅ぼすらしい。予言の成就を恐れたゼウスメティスを飲み込んでしまった(父のクロノスは子供を飲み込んでいたが、その息子のゼウスときたら…)。しかし不死身の神である為、ゼウスの体内で成長を続けた。それを知ったプロメテウスヘパイストスという説もあるが、それは交錯しすぎる)はゼウスの頭を斧でかち割り(ゼウスに恨みでもあるのか?)そこからアテナが飛び出したのである。この時、既にアテナは完全武装状態。生まれながらの戦いの神であったようだ。
 ゼウスにとって幸いだったのは、祖父や父と違い息子ではなく孫に滅ぼされる運命にあった事で、アテナは子供を作らなかったのでゼウスの統治が続いたのである。
 そしてアテナにもやはり残酷な面がある。彼女は機織りの神でもあるのだが、人間のアラクネという少女が「自分の腕はアテナよりも上」だと自慢し、腹を立てたアテナは彼女に勝負を挑んだ。結果は自慢するだけの事はありアラクネの織った布の方が美しかった。これにプライドを傷つけられたアテナはアラクネを蜘蛛に変え蜘蛛の巣を織り続ける罰を与えたのである。神の傲慢さがよくわかるエピソードであるな。
 アルテミスと同じく彼女の従者も処女でなければいけないようである。それを知っていながらゼウスは彼女達に手を出すし。しかもアテナもアルテミスゼウスではなく従者に罰を与えるし……。ちょっと、非道いんじゃないの神様。
 ローマ神話ではミネルヴァに相当する。

アレス       
父:ゼウス
母:ヘラ
 ゼウスヘラの子供の中では知名度が高い。軍神であるが、全ての能力が戦いの女神アテナに劣っている。
 軍神ってのは「とってつけたような言い訳」でただ単に粗野で粗暴な頭の悪い「親の偉を借るクソガキ」である。「軍」というからには有効な戦術でも使い知能的な戦いをしてほしいものだが、ただ喧嘩をしているだけ。しかも、しかも「弱い」。ついでに「根性もない」。かのトロイア戦争で息子を助けに行ったものの、あっさりと逃げ帰ったというエピソードは有名ですね。
 見た目は非常に美しかったみたいなのでアフロディーテと同じく、本当は美を司る神だったのかもしんない。  こんなのが実の息子じゃ、そりゃヘラも他のゼウスの息子の活躍を妬むわな。
 ギリシア人に嫌われている神で一説によるとゼウスが一番嫌いな神は、このアレスだったという。
ローマ神話ではマーズ(マルス)に相当する。が、それではマルスがあまりにも不幸である。

ヘパイストス    
母:ヘラ
 鍛冶の神。ゼウスヘラの子とする説もあるが、一般的にはアテナゼウスの頭から飛び出してきたのを見てゼウスが1人で子を産んだと勘違いし、馬鹿にされていると感じ「自分の力がゼウスに劣らない」事を示す為に1人で産んだ子とされている(ゼウスとの子という説では、ここで産んだのはテュポーンという事なっている)。
 しかし無理な生まれ方をしたが故に美形ぞろいの神のなかにあって非常に不細工であり、母に生まれてすぐにオリンポスから捨てられてしまった。幸いにも彼はテティスに拾われ(これも拾った相手について諸説あり)育てられた。そこで鍛冶の技術を学び天才的な才能を発揮する事になる。
 そして彼は母親に対する仕返しとして罠付き黄金王座をヘラに贈った(受け取るなよ、そんな怪しいものを)。ヘラは見事に王座にくくりつけられ身動きがとれなくなってしまい、困った神々はヘパイストスにヘラを解放するように迫るが、その時の彼の答えが「アフロディーテを妻によこせ」というものだった。醜い自分が最も美しいアフロディーテと結婚するという神々に対する仕返しであったのだろう。こうしてアフロディーテは不幸にもオリンポスで最も醜い男の妻となったのである。
 また彼は妻がアレスに浮気をした時も気づかないふりをして非道い仕返しをしている。流石ヘラの息子。 だが、彼はゼウスによりヘラが迫害された時にはヘラをかばっている。結構いいところもあるようだ。だが、この為にゼウスの怒りを買い、またもやオリンポスから投げ落とされてしまった。これが原因で彼は生涯、足が不自由となってしまう(不死身なのと肉体再生能力は別って事かな。ただし生まれつき足が悪かったという説もあり、こっちなら特に矛盾はない)。
 ローマ神話ではウルカヌスに相当する。

ヘルメス      
父:ゼウス
母:マイア
 商業の神にして盗人の神(商業とじゃ相反するだろ)で生まれたその日に母の目を盗んでアポロンの牛を50頭も盗み、何事もなかったかのようにゆりかごに戻ったという。
 人(神だけど)の物を盗むなど許せない奴だが、アポロンとは親友になってしまう(竪琴を発明しアポロンに譲ったからだといわれている)から世の中わからない。
 ゼウスに命じられ100目の怪物アルゴスを倒すという活躍もしている。
 イメージアイテムは蛇の巻き付いた杖。
 ローマ神話ではマーキュリー(メルクリウス)に相当する。

ディオニュソス   
父:ゼウス
母:セメレ
 酒(特に葡萄酒)の神で12神唯一の「人の子」である。最後に12神に加わったとされているが、ヘラを罠にかけたヘパイストスをオリンポスに連れてきたのもまたディオニュソスである。ギリシア神話なんてこんなもんなので気にしないほうがいいだろう。
 彼もまたアテナ同様にゼウスの体内から生まれた神である。しかしヘラにばれて迫害されるのを畏れ女装させ(無意味だろ)られ人間へとあずけられた。
 結局、それが原因で、その家族はヘラに自殺に追い込まれ彼自身もまた発狂し世界を彷徨い歩く事となった。
 その後、正気に戻った彼は信者を集め世界を旅した。これは酒を飲み暴れる最悪な集団であった。
 自分の領地でそうのような事をするのを許さずテーバイの王は彼を捕らえるが、自らもまた人の子であるにも関わらず神に逆らう愚か者としてテーバイ王を惨殺してしまった。
 この後、彼は神として認められオリンポスの地へと赴き最後の12神となるのである。
 ローマ神話ではバッカスに相当する。

ポセイドン     
父:クロノス
母:レア
 海の支配者として知られる有名な神。世界の海が彼の支配地である為、オリンポスの地にいる事は少なく12神の座をディオニュソスに譲ったと言われている。
 さすがゼウスの兄といった感じで弟ほどではないものの、あちこちに彼の子供がいる。その強引さも弟とまるで変わらない。彼のシンボルである三叉の矛(トライデント)も、ゼウスの雷と同じイメージである。
 ただ彼は自分の地位に満足していないようで、多くの神と土地を賭けて争っている。もっとも、その全てに敗れているのだが。一度などゼウスの子供達(アテナアポロンらしい)と結託しゼウスに戦いを挑んだ事もあったという。
一般的には前述の通り「海の支配者」であるが、「地上の支配者」であったという説もある。確かに、天と冥府に対しては海よりも地上の方が自然ではある。が、大地母神であるデメテルの立場がそれではなくなってしまう。
 ローマ神話ではネプチューンに相当する。

ハデス       
父:クロノス
母:レア
 冥府の支配者。様々な説があるとはいえ冥府に閉じこもっていたハデスをオリンポス12神の1柱にあげるのは、明らかに間違っていると思うのだが…。(12神は別に名目上のものでなく神々の最高議会であり、議会の開かれる場所はオリンポス山である。つまりハデスが12神であるはずがないのだ!)
 どうにも勘違いしているっぽいが、12神にあげている書物がある以上は無視するわけにもゆかない。
 彼はその支配地ゆえに非常にイメージが悪く、ギリシア神話の亜物語では、悪役となる事が多い(それも小賢しいといった類の)。
 しかし実際には弟達よりも、よっぽど高潔で信頼に値する神である。彼は長兄であるというのに冥府などという場所を支配地に割り当てられた(くじ引きで決めたらしいが、そんないい加減な…)わけだが、それに不満を持つ事なく弟ポセイドンのように争いを引き起こしたりしない。そればかりか無用な争いが起こらぬように地上に姿を現す事はなかった(ただ根性がないだけかもしれないけど)。
 また、彼は絶対正義であり、彼の裁きは常に公平である。公平であるがゆえに「冷酷」として名を果たす事となってしまうのだが…。ただオルフェウスに対しては少々、公平さを欠いていたかもしれない。「死者が蘇る」という、この世の理に反した事を起こさぬのが役目なのだが、彼自ら、その禁を破りオルフェウスの妻を蘇らせようとしたのだから(公平に徹しきれない辺りが、彼に「優しさ」がある証拠だが、やっぱり冥府の支配者自らが蘇生を認めたという前例を残してはダメでしょ)。
 そして弟達と大きく違うのは、ただ妻であるペルセフォネだけを愛し続けた点である(浮気した説もあるけど、それにしても2、3人だ)。問題があるとしたら、強引にさらってきたという点だろう。いくら父親の了承を得ていたとはいえ、それはよくないと思うぞ。この辺はポセイドンゼウスの兄であるなと実感する。
 ローマ神話ではプルートに相当する。

 以上が、オリンポス12神である。ゼウスの兄弟と子供(ヘパイストスアフロディーテゼウスの子とする説があるし)で固められており、ゼウスの権力がいかに大きかったが知れる。

 ではその他の神々を…