Don't forget me

作詞・作曲:宇徳敬子

演奏時間:2′34″

-Review-

「・・・るけど」で始まる100秒ちょっとのせつない思い。

もともと歌には定評がある宇徳さん。
改めて、「こんなに上手かったんだなぁ。」と感心してしまいました。
この曲はささやくように・・・それでいてポップな感じがでている。
今までとはちょっと違った感覚で、新たな魅力を発見した気がする。

波のSEから、ボサノバ調の心地よいrhythmが
ゆったりとした雰囲気をつくりだしている曲。

8月の失恋を静かに歌っています。エレピの音色が心地よく響いてくる曲。
サウンドには夜空に浮かぶ月の持つ優しさが漂っている。






-Message-

デモテープの力の抜け具合を再現したい気持ちもあって、
"・・・るけど"って言葉で
自然に入っていけるような感じにしてみました。

なんとなく歌っていたのがそのままになっていて、
"・・・"に入る言葉は限定されていないんですね。
無造作な状態にどれだけ近づけるかっていう、
そうですね・・・夏の終わりに想い出の回想シーンのような、
ソーダ水のような透明感のある恋みたいな・・・?
そんな気分の曲ですね。

私のなかではその部分は
どうしても"・・・るけど"なんですよ。
だから聴き手の皆さんにはそれぞれ好きなように言葉を当てはめて聴いて頂ければいいかなって。


“・・・”には、それぞれ皆さん、
夏の思い出のいろんな形容詞を自分なりに入れてもらいたいなっていう。
この曲はデモテープの時からなんかわかんないけど
いきなり"・・・るけど"で始まってしまってですね、
意味が分るようにしちゃうとつまんなくなるから
なんか解んないけどこれはひっかかるっていう言葉はそのままいかしたりとかね・・・。

1曲目に持ってきたのは、"・・・るけど"って言葉で自然に入っていける感じにしたかったからです。
"・・・"には色んな形容詞が当てはまるし、それぞれの意味を感じてもらえればいいかなと・・・。

-Impressions-

エレピががいいですね。
こうやってバックの音がシンプルだと、
宇徳さんの歌声の良さがしみるほど分かります。
「・・・るけど」の"・・・"の部分を自分なりに
あてはめてみようと思ったんだけど、
一番最初に思いついたのが「"腹が減"るけど」でした(笑)。
・・・それじゃ一緒に居たくないみたいじゃないか・・・・・・
始めの「・・・るけどから、〜打ち明けたのに」まで、
生の声に近い録音の仕方なので、
宇徳さんが隣に居る様な感じで、
自然にアルバムの中(宇徳ワールド)に入っていけます。
アルバムの一番目の曲として、良く計算してあると、僕は思います。

特にDon't forget meをヘッドホンで聞くと、
伴奏の音量が小さめのこともあって、耳元で歌いかけられてる感じで、
側頭部を内側からくすぐられているような快感がありました。


「・・・るけど」から始まるあたり
どうがどうでどうなってるのか分からなかったけど、
全体を見ると納得!できました。
それにしても、宇徳さんをふったヤツは誰なんだ(笑)


個人的な意見として、アルバム「満月」の中で一番好きな曲です。
「…るけど」で始まるという斬新なアイディアや、
「観察してたの」といったあまり歌詞にされないような言葉まで、
なんの違和感も感じさせず取り込み歌い上げてしまうところには、
いかにも「言葉」を大切にする宇徳さんらしさが現れていている
と言ってもいいのではないだろうかと思う。
また、この曲はほとんどピアノ一本で作られているせいか、
宇徳さんの美しい歌声を十分に堪能できるように思う。
激しい音楽の曲が流行っている現代において、
宇徳さんのようなこのような曲は本当に心地よく感じられる。
特にピアノのリズムに乗って始まる
「あなたについて〜」や「あれは…〜」などは、とても心地よい。
サビの「Don't forget me〜」も、
聴いているとまるでその魅力に引き込まれてしまうかのようだった。
また、「どうがどうでどうなってるの」や
曲の途中に入る「ん?」などは遊び心も感じられ、とても可愛いく感じた。
この曲はそんな宇徳さんの魅力を
たっぷり詰め込んだ曲の一つであるに違いないでしょう。

-Memo-

この曲は「氷」の頃からあった曲だそうです。
編曲者はいません。


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